「行政改革推進本部規制改革委員会業務独占資格制度に関する調査」
全国青年社会保険労務士連絡協議会回答内容(1)基準・視点1
業務範囲が余りに細分化されている資格については、業務範囲の見直し、資格間の相互乗り入れを検討する。
また、業務独占資格者の業務のうち隣接職種の資格者にも取り扱わせることが適当なものについては、資格制度の垣根を低くするため、他の職種の参入を認めることを検討する。[連合会回答]
社会保険労務士制度は、第2次大戦直後の混乱期に制定された労働社会保険諸法令の順守のために相談指導を求めた民間企業の要請により生まれ、その後わが国の経済社会の成長に伴う企業の需要に応じて発展してきた制度であり、将来にわたる大問題である医療、年金、介護について専門的に取り扱う点で、少子高齢社会における国民生活を支える最も重要なものとなっている。現在、労働杜会保険に関わる法令・制度は複雑多岐化し、非常に専門的になっているばかりでなく、この業務を行うには約50に上る労働社会保険諸法令に精通し、かつ、十分な専門的知識経験を持つとともに不断の自己研鎖が必要となっている。したがって、このような条件を満たさない者の参入を認めることは国民に不利益を与えることとなり、不適当である。なお、社会保険労務士の業務を完全に果たすためには、さらに社会保険労務士法上の規制である労働争議不介入の原則の撤廃、労働社会保険に関する事件の訴訟代理の遂行、個別紛争解決への参与等の職域の拡大(これらについては、おって別紙をもって提出予定)が必要とされ、社会保険労務士業務のますますの専門化が期待されている。
[青労会回答]
現在の社労士業務のうち、単純な書類作成業務については特に社労士に業務独占をさせる必然性はない。従って、こうした分野は他の資格を持つ者に開放することも検討されてよいだろう。
ただし、単純な業務とはいっても、企業や個人のプライバシーに係るものを扱うことが多いので、守秘義務を持つ一定の者でなければ国民の利益を損なうことになる。この点で、無制限な業務の開放はできないといえる。
また、現在の資格制度があまりに多岐にわたって国民が利用しづらくなっているという批判も聞かれる。そうであれば、最低限憲法に根拠を有する3大資格を残してのこりを統合するというのも一つの手である。
すなわち、
生存権(第25条)…社会保険労務士 納税の義務(第30条)…税理士 裁判を受ける権利(第32条)…弁護士 の3つを憲法は求めているのである。
残りについては、例えば「行政代理士」という一つの資格に統合し、基本的にあらゆる業務を行えるようにすればよいだろう。場合によっては社会保険労務士と税理士もこれに含まれてよいだろう。
現行の制度を維持するのであれば、社会保険労務士に訴訟代理権と労働争議の介入権が認められねばならない。
労働争議不介入条項の根拠として「公平・公正」という言葉が金科玉条のごとく使われてきたのだが、既に時代の流れに遅れてしまっているということを改めて強調したい。
三ケ月章教授は、著書「法学入門」の中で『西欧では伝統的に、法の運用に携わるという社会的により高い価値をもつ仕事をProfessionと呼び、単に生活の手段を供するにすぎない職業を指すOccupationとは区別してきた。このように、法に携わる階層は、特別な扱いと尊厳を受けてきた。』と述べておられる。
すなわち、法律家たる者、単に顧客の利益を追求するだけではなく、法体系の啓蒙等を含む社会的責任を果たしてゆく義務を負っているのである。またそうして初めて存在意義が認められるということからも、今後一層社会保険労務士が積極的に社会的責任を果たしていくことが必要である。そのためには、まず社会保険労務士を規制する不条理な規定(労働争議不介入を定めた社会保険労務士法第23条、訴訟代理権の独占を規定した弁護士法第72条)の撤廃が求められよう。
さる10月14日の資格制度の見直し状況に関するヒアリングにおいて、厚生省の植村課長が社労士の労働争議について否定的な意見を述べておられた。いわく、「労働争議に介入すると、労使のどちらかにつくことになるが、公的資格を持った者が一方につくと公平性を欠き、事案がさらに複雑化するおそれがある。」とのことである。これは、現代においては全くナンセンスな理屈でしかない。確かに法制定時には一部の「事件屋」がいたずらに労使の紛争をあおりいくばくかの金を手にしていたという経緯がある。また、高度経済成長を達成するまでの過程において資本家が労働者を搾取し、話し合いによる解決も難しかったということもあっただろう。しかしながら、現在では資本家(経営者)が一方的に労働者を搾取すると事業自体がたちゆかなくなることを経営者はよくわかっている。それ故にまず話し合いでお互いが納得できる努力を行うのだ。こうした状況の中で、社労士がいずれかの一方の利益のみ優先させて関与するということはまず考えられない。仮にこういうことをする社労士がいたとすれば、労使双方の信用をなくし、すぐさまその場から放逐されるだろう。むしろ、昨今の労使紛争はお互いの法の無知から発生するケースが多く、適切なアドバイスをしてくれる第三者を望んでいるのだ。そして、この役割を果たすことができる者こそ、その事業場の内情をよく知り、労働社会保険諸法令に精通した顧問社会保険労務士なのである。
現在、労使紛争が裁判に発展して弁護士をそれぞれの代理人におくという状況がみられるが、裁判になると莫大な金と時間がかかるため極力回避すべきである。この紛争防止に社労士の日頃の労務管理が重要になってくる。また、不幸にして訴訟が避けられなくなった場合でも、弁護士は「高い・遅い・いばっている」との批判が絶えず、普通の国民が利用するには極めて不便である。資本主義の世界ではこんなものにはとうてい商品価値などみとめられないだろう。識字率の低かった一昔前であればいざ知らず、これだけ高等教育の発達した現代では、誰でも一応の事件処理は可能なのである。弁護士法第72条の独占規定は既に歴史的役割を終えたのだ。そこで、身近な法律家である社会保険労務士が代理人として求められるようになるのである。無論、現在弁護士が持っている訴訟代理権と全く同じものを要求するのではなく、司法書士が要求しているものと同じレベルの訴訟代理権を我々も要求するものである。
以上の論旨は9月28日送付の意見書及び10月4日送付の「労働争議と労使紛争における社会保険労務士の果たすべき役割」、「憲法と社会保険労務士」に記載してあるのでそちらを一読いただきたい。(2)基準・視点2
以下の資格については、廃止を含めその在り方を検討する。
- 資格者以外でも実施可能な専門性の低いもの
- 資格取得に当たって、試験合格等の特段の要件を必要としなしいもの
- 試験合格率又は講習終了率が極めて高いもの
- 社会的使命が終了したこと等により、年間の資格取得者数が少ないもの
- 資格取得の要件が試験合格を原則としているにもかかわらず、資格取得者のほとんどが試験合格以外の特例による取得者であるもの
- 類似資格が民間資格において存在するもの
(専門性)
[連合会回答]
約50に上る労働社会保険諸法令に精通することが必要とされ、専門性が高い。
[青労会補足]
1で述べた通り、現在の社労士業務の全てが専門性を必要とするわけではない。
その一方で、労使間の紛争予防や審査請求など、労働社会保険諸法令に精通していることが必要とされるものも多数にのぼる。したがって専門性は高いといえよう。(資格取得要件)
[連合会回答]
極めて僅かな例外を除き、資格取得には試験合格が要件とされている(社会保険労務士法第3条)。
[青労会回答]
連合会に同じ。(試験合格率)
[連合会回答]
社会保険労務士試験の合格率は、最近7パーセント前後である。講習修了の要件はない。
[青労会回答]
連合会に同じ。(特例による資格取得)
[連合会回答]
特例による資格取得はほとんどない。
[青労会回答]
連合会に同じ。(類似資格)
[連合会回答]
類似資格はない。
[青労会回答]
連合会に同じ。(3)基準・視点3
法律上資格試験を行うこととされている資格については、試験を実施する。
[連合会回答]
不該当。
社会保険労務士試験は、毎年実施されている(社会険労務士法第10条第1項)。[青労会回答]
連合会に同じ。(4)基準・視点4
明確で合理的な理曲のない受験資格要件については、その廃止を検討する。
[連合会回答]
受験資格要件については、検討中[青労会回答]
連合会に同じ。(5)基準・視点5
受験前の実務経験、試験合格後の修習・講習等の義務付けについては、合理的な理由なくして参入規制として機能しないようその在り方を見直す。[連合会回答]
社会保険労務士業務の実施のためには、手続業務、相談指導業務ともに実務経験が必要であり、現在、試験合格者に対する実務研修及び開業予定者に対する開業研修が綿密に行われているばかりか、それらの強化が必要であるといわれている。[青労会補足]
今後、社労士にも訴訟代理権、労働争議への介入権が付与されるという前提で、これらに係る知識・技術を試験内容及び研修内容に含め、対応できるように改善してゆく必要性がある。[以下12まで連合会回答に同じ]
(6)基準・視点6
身体的障害等を理由とする絶対的欠格事由については、その合理性について検討する。不該当。
社会保険労務士制度では人の身体的属性又は性別を欠格事由としていない。(7)基準・視点7
受験資格及ぴ資格取得に係る特例措置の調定基準については、明文化・公表を進める。不該当。
社会保険労務士制度においては、特例資格及び試験科目の一部免除について法律で規定している(社会保険労務士法第3条第2項、第11条及び別表第2)。(8)基準・視点8
合格人数制限を行っているものについては、参入規制とならないよう、これを見直す。
主管官庁の判断による。全国社会保険労務士会連合会が試験事務を実施する場合でも合否の判定は主管官庁が行う(社会保険労務士法第10条の2第1項)。(9)基準・視点9
関連・類似資格等については、統合又は試験・講習科目の共通化・免除者し<は履修科目の免除を進めることについて検討する。不該当。
統合すべき関連・類似資格、共通化・免除すべき試験・講習科目及び免除すべき履修科目はない。(10)基準・視点10
合否判定基準を公表する。(8)基準・視点8に関するコメント参照。
(11)基準・視点11
例えば以下の方法を採用することにより、資格取得の容易化を検討する。
- 合格科目の積み上げ方式による合格方式の推進
- 再受験における既合格科目の免除制度の推進
- 試験問題の公表・持ち帰りの推進
不該当。一定の実務経験者に対する試験科目の免除及び試験問題の公表・持ち掃りは実施されている。なお、合格科目積み上げによる合格方式等の採用は、実務上困難である。
(12)基準・視点12
受験料の積算根拠を精査する。
不該当。受験手数料は、政令で定められる(社会保険労務士法第12条第1項、社会保険労務士法施行令第1条第1項)。(13)基準・視点13
公正有効な競争の確保等の観点から、登録・入会制度の在り方について検討する。[連合会回答]
専門士業制度にあっては、歴史的に見て、その知識経験についての国家の認証行為である登録及び業者団体の自治に服するための入会が必須のものとされている。登録制度は士業者の管理及び資格の証明のために欠かすことはできず、入会制度は士業者のが団体の自律的統制によリモラルをもって公正かつ有効な競争をするための基盤であるので、入会の強制は必要である。
なお、団体の統制力の強化のため、団体に対する懲戒権の付について検討を行う。[青労会回答]
前述の守秘義務など、特別な義務を負う者を管理する必要性から、登録はしなければならない。しかし、入会制度は全く不要である。少なくとも、会費徴収が連合会幹部を潤すためでしかない現状では、即刻強制的な入会制度は廃止すべきである。そもそも入会制度は社労士の資質向上を目的として実施されているのだが、何も入会しなければ質の向上が望めないわけでもなく、また会の存在自体がギルド的な性格を持っておリ、規制改革の流れに逆行する。 [以下16まで連合会に同じ](14)基準・視点14
公正有効な競争の確保や合理性の観点から、報酬規定の在り方を見直す。不該当。社会保険労務士の報酬規定は、全国社会保険労務士会連合会が定める報酬基準に準拠して各都道府県社会保険労務士会が定めているが、報酬の確定額の定めではなく、状況によって会員社会保険労務士が適宜増減することができるものとされているので、報酬額の協定には該当しない。社会保険労務士は、法律の規定により、依頼された仕事を断ることを禁じられているから、仕事に見合った合理的な額の報酬を保証される必要がある。昨今、無資格者の社会保険労務士法違反行為が頻繁に行われていて、非常に高額な報酬を要求したり、逆に低廉な報酬を提示して無責任な仕事をするものが現われ、そのような者に仕事を依頼した事業主から関係官署に苦情が寄せられている。この点、報酬規定を提示することによつて国民が安心して仕事を委託することができる効果は、大きく評価することができよう。
(15)基準・視点15
公正有効な競争の確保や含理性の観点から、広告規制の在り方を見直す。不該当。
広告規制は行っていない。(16)基準・視点16
有効期間・定期講習の義務付けの合理性について検討する。不該当。
有効期間の定め及び定期講習の定めはない。<新規検討課題>
○法人制度の検討[連合会回答]
共同事務所方式による法人制度について検討中。○資格者数の増大
[連合会回答]
現在、顧間事業所数が少ない開業社会保険労務士数が多く、資格者数の増大の必要を認めない。[青労会回答]
顧問事業所数が少ない開業社会保険労務士が多いのは事実であるが、新規参入者を排除し己の職域の安泰を図ろうということはまさに国民の利便性を無視した自分勝手な論理である。
本当に国民が必要とするだけの資格者がいなければならず、その競争の中で必要とされない者が洵汰されることもあるだろう。しかし、それが本来の資格制度のあり方であると信じる。
ただし、要件を緩やかにして無理に資格者を増やすことも厳に慎まなければならない。社労士業務も専門性が高いものが多いため、相応の資質は維持しなければならない。◎外国における類似制度
[連合会回答]
諸外国には、社会保険労務士制度に類似した制度はない。大韓民国に「公認労務士」制度があるが、内容から見て、わが国の社会保険労務士制度とは異質のものである。[青労会回答]
我が国の社会保険労務士制度に類似する外国の制度として、お隣韓国の「公認労務士制度」があげられる。
そもそもこの制度は、我が国の制度を手本として1984年に創設されたものであり、業務内容・職務に属する法令ともに酷似している。強いていえば、公認労務士制度には社会保険に関する業務がないことだろうか。
しかし、こちらは後発ながら、我が国の社会保険労務士制度に比べて様々な点で優れているとい
える。
(詳細は宮内委員長あての意見書に記載)
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